肩
寂しさと恋しさを引き摺り降り立つ駅
目に映るのはあの頃の風景
鼓膜に響く夏の昆虫
懐かしさが苦しい
皮膚をなぞる優しい風
躊躇いながら踏み出す爪先を見る
無条件で受け入れてくれる愛は
とうの昔に果てしまったのに
まだ求めているのか
あいつは…
きっと踏み出している
今更どうにもならない
判っているんだ
ああ~
受け取れなかった
欲しかったのに 欲しくて欲しくて…
死ぬほど欲しかったのに
なのに周りの視線に耐えられず
逃げた俺
夕焼けかぁ
五時を知らせる 夕焼け小焼け…
ふっと口を突いて出た
お手々繋いで皆帰ろ
カラスと一緒に焼けましょう~
夕焼けに向かってカラスが飛んで消えていく
まるで焼けて消えたみたいなんっていったら
あいつ焼けるてなんだよ
あははカラス丸焼けだ~
あの頃はゲラゲラ笑って
毎日大声でわざと歌っていたっけ
ふふふふあはは
まだ丸焼けにはなってねぇし
ぶっ倒れた心
ヨロヨロしながら
立ち上がれ
恋情はここで燃やせばいいさ
あはは
それじゃあ俺たちもカラスも丸焼けだ!
懐かしいその声
何故? お前?いるんだよ
相変わらず馬鹿な野郎だな
こっち向けよ
近いうちに一度帰るってラインよこしたろ?
ああ~既読スルーされたラインな
それから毎日来てた
いいからこっち向けよ
無理だ
向けるわけない
好きにしろ
帰るなら帰ればいいさ
俺の隣は今も変わらず空いてる
あの丸焼け馬鹿野郎が痛みを置きに来る
と信じているから
手を置かれた肩から伝わる
あいつの心の震えが伝わる
焦がれる想いが涙になり頰伝う
「もう どこへも行くな」
「うん…」
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